ぼんやり帖

ぼんやりと過ぎていく日々の見たもの聞いたもの読んだものを,書き留めておこうかなあという備忘録。

読んだ本

三人目の幽霊「三人目の幽霊」(大倉崇裕/創元推理文庫)
落語専門誌「季刊楽儀」の女性新米編集員と編集長のコンビによる日常の謎系落語ミステリ短編集。ああ,なんだか夢のような職場だよ。落語も最前列で見放題。
落語を生かしたミステリとして一番よく出来ているのは「患う時計」だろうなあ。
でも,なぜか妙に印象に残るのは,「崩壊する喫茶店」。はっきり言って,すごくご都合主義な話だと思うのだけど。でも,後味が悪くない。
・・・と思ってたら,解説を読んで「え?え?」そういう見方もあるという事か?ミステリ読みの性ですねえ。それとも,本当にそういうオチなの?真実はいかに。
それにしても,謎の喫茶店のマスター。一番キャラ立ちしとるわ。

父の縁側、私の書斎「父の縁側、私の書斎」(壇ふみ/新潮文庫)
女優,壇ふみさんのエッセイ。若くして死別した父との思い出,暮らした家の記憶。
小さい頃の思い出というのは,その時住んでいた家の風景とセットで湧き上がりますよね。間取りやふすまの模様,お風呂のタイルまで・・・・。でも,たいていは,今はその家を引っ越して,そこはもう思い出の中にしかない家になっている。
私の実家が今の家に引っ越したのは,私が小学校4年生だったのですが,初めて出来た自分の部屋は思い出の中にしかありません。
就職して家を出て何年かして,建て増しをして大きな部屋に広げてしまったのだった。
緑のカーペットを引いてあったあの6畳の洋間,木目がおじいさんの顔に見えて怖かった合板の壁,マーブルチョコのおまけのシールが貼り付いてた本棚,自分で選ばせてもらったオレンジ色の花柄のカーテン。小学4年生から大学を卒業するまでの,あの私の部屋はもう,跡形もないのでした。
既に独り暮らしをしている身だし,建て増しに反対する理由も筋合いもなかった訳ですが,やっぱり時々,あの部屋が懐かしい。
壇ふみさんは,なんと今も生まれ育った家にお住まいだそうで(建替えはしているのだけど),それはそれで豊かな人生かも・・・・と思っていたら,なんとも悲しい文庫本あとがき。また,このあとがきが,一番の名文です。淡々とした語り口調だけに,かえって切実に訴えかけられる。
一度壊してしまったら,もう永遠に戻らないのに・・・。

「バレリーナの情熱」(森下洋子/角川文庫)
日本が生んだ世界のプリマ,森下洋子さんの自叙伝。なぜか職場に転がっていたので借りて帰りました。もう10年くらい前の本みたい。
彼女の舞台では,大昔に「くるみ割り人形」を見たっけ。なんせ,松山バレエ団を四国のバレエ団だと思っていたので話にならん。
努力も才能のうちだと思いますが,彼女のように,小さい頃好きになったものを,生涯を通じて同じテンションでずっと好きでいられ続けるって,それが本当に稀有の才能だと思う・・・。
本当に,バレエに人生の全てを捧げきっているのだなあ。
うーん,ヌレエフとの「白鳥の湖」「ジゼル」,映像でいいから見てみたい。

そういえば,「キッチンもりした」は並木通りの老舗でしたね。一度ハンバーグを食べたなあ。店の中に森下洋子さんの舞台写真やトウシューズが,控えめに飾ってあったっけ。
これも,今はもう思い出の中にしかない風景ですが。

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積ん読に追われている。

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