ぼんやり帖

ぼんやりと過ぎていく日々の見たもの聞いたもの読んだものを,書き留めておこうかなあという備忘録。

大人はやっぱり判ってくれない

ふくれつら「ぜんぶ、フィデルのせい」(2006年/イタリア・フランス@サロンシネマ)

1970年代のパリ。弁護士の父と雑誌記者の母を持つアンナは、名門のカトリックスクールに通うお嬢様。
だけど、最近,パパとママの様子がおかしい。庭付きのおうちから狭いアパートに引っ越して,家にはヒゲ面のおじさんたちが出入りし,何かといえば,団結,団結。
前の暮らしの方が断然よかった。バカンスにはボルドーに行きたかったし,得意な宗教学の授業にも出席させてもらえない。パパ達の言う,キョーサン主義って何?大好きだったキューバ人のお手伝いさんもいなくなってしまった。最後に彼女が言ってた。「アカは大嫌い,悪いのはフィデル・カストロだ。」って。
そうか,ぜんぶ,フィデルって人のせいなのね!

おもしろい映画でした。
共産主義活動に目覚めた両親に翻弄される9歳の女の子の物語。
突然変えられた生活にどうしても納得がいかない!片や幼すぎる弟は,あっという間に順応。家族の中で,アンナただ一人が,いつも脹れっ面。
子どもは衣食住を親に頼らないと生きていけないから,辛いよね。どんなに嫌でも,親のライフスタイルに従わざるを得ない。なんとなく,天理教や創価学会の家の子を思い出してしまった。(身近で聞く例では,親の考えに染まってしまうか,逆に拒絶反応を起こしているかのどちらかだったり。)
でも,嫌な気持ちにならなかったのは,両親がちゃんとアンナを愛している事。そして,子どもを自分の所有物とは思っていないらしい事。
そしてなにより,主人公のアンナが負けてない!嫌な事は嫌だとハッキリ言うし,納得いかない事は,どんな大人に向ってだって,オブラートなんかに包まず,ズバズバ質問する。またこの疑問が,見事にモノの矛盾点を突いているのよ。
そして,けして,70年代の共産主義活動の是非を問う映画ではありません。
チリの社会主義政権樹立を目指すヒゲ面おじさん達も,その運動を支援する父も,女性解放を唱える母も,入れ代わり立ち代わり雇われる各国のお手伝いさんの世界観も,地主階級のおじいちゃんおばあちゃんの生活様式も,カトリックスクールのシスターの授業も,どれが正義でどれが悪という事はない。みんな,それぞれその人の正解であり,そして,実は大人だって,間違える事はある。
アンナのとおり,自分の目でちゃんと見て,考えて,自分の答えを出せばいいんだよね。

またこのアンナちゃんが,可愛い〜。まつ毛が長くて,くるんと上向きカールで。いつも仏頂面なんだけど,お父さんが遊んでくれたりする時は,子どもらしくはしゃぐのね。
口げんかする両親を置いて,家出を決行する時は,いつもケンカしてるはずの弟の手をちゃんと引いている。おねえちゃんだなー。ほろり。
それと,お洋服がどれもこれも可愛かった!子ども服なんだけど,幼稚な訳じゃなくて,サイズを大きくしたら大人でも着れそうなシックなデザインにしてキュート。ヨーロッパの子どもはセンスがいいなあ。

50年前のヒロシマ

友人達が泊まりに。
広島に来たからにはと,博多在住のRちゃんのリクエストで昼はお好み焼き。
初めて,「お好み共和国」に行ってみました。(広島に住んでいると,かえってこういう所には行く機会がない。)入ったお店は「えんじゃ」。
目の前の鉄板でお兄ちゃんが焼いてくれるのですが,使う卵が全部,双子卵!
それを見たK合さんが,「ガミラスとイスカンダル!」と感嘆するも,お兄ちゃんには通じず。
とはいえ,気になったらしく,えらい長いこと「ガミラス??ガミラス??」とつぶやき続けてたのがおかしかった。いや,お兄ちゃん,そんな深く追及しないでください・・・。
ボリュームたっぷりのお好み焼き,おいしかったです。
その後,並木通りでデザートを終え,私は見たい映画があったので,そこでお別れ。
一週間限定で,しかも,昼間一回だけ上映する映画なんです。この日曜日を逃すと,もう見られないよ!

ヒロシマ モナムール「ヒロシマ モナムール 24時間の情事」(1959年/フランス・日本@シネツイン1)

映像に残る50年前の広島の街並みを見たかったのと,グレゴリ青山さんの本にこの映画の事が描いてあったのが印象に残っていて,ぜひ見ようと思っていた映画。
ついパルコの本屋に寄ってしまい,開始時間ギリギリに入場したら,思いがけず補助席まで出る大入り満員!座布団をもらって通路に座る。こういう古い地味めな映画が満席なのが,ちょっとうれしかったり。(平日昼間に見られない人が多いからもあるでしょうけど。)

独軍占領下のフランスの田舎で,敵兵と密通して断罪された過去を持つ女優が,反戦映画のロケのために広島を訪れ,日本人の建築家と一日限りの恋をする・・・。そして,その日は,8月6日だった。

全編フランス語。二人の男女の会話が,ある時は過去を回想しつつ,ある時は復興中の広島の街を歩きつつ,ただひたすら,延々と続く。
二人とも,癒えることのない戦争の傷跡を抱えている。女優の消えない記憶は,故郷ヌヴェールにある。男はヒロシマで家族を亡くすが,彼はその日そこにおらず,見なかったヒロシマを思う。

二人が歩く,1958年当時の広島。
まだまだ高層ビルはないけれど,商店街にはネオンサインも輝き,人々が働き生活し,たくましく復興している広島市街。
その一方で,女優が訪れる原爆資料館の展示物は,まるで昨日のことのように生々しく,原水禁運動の行進で遺影を手にうつむく遺族は,まだ制服の高校生・・・。
あの日から,まだたったの10年余りしか経っていなかった頃のヒロシマが,モノクロの画面に記録されている。
白昼夢のような時間が終わり,映画館を出ると,そこは正に,先ほど二人が歩いていたその場所の50年後。過ぎた時間は戻らない。

後日,父に電話で,「映画で,50年前の本通りや金座街をみたよ!」と言うと,「自転車で配達中のお父さんが映ってなかったか?」と。
勤労少年だったお父さん,本当は大学にだって行きたかったんだよね。
話は飛んでいき,4月末の松竹東洋座・広島名画座の閉館が寂しかったみたいで,私が「福屋の上にある映画館よね」というと,当時は,「あそこの角にあって,1階で江利チエミのショーを見た」んだそうです。美空ひばりも来たらしい。けど,父は,江利チエミの方が好きだったとか。
そーか,それで時々,お風呂上りに,でたらめテネシーワルツを歌っていたのか。
それから,マリリン・モンローの「帰らざる河」を見て感動して,洋画にかぶれて,映画館にもよく通ったとか。朝日会館はまだあるか,と聞かれました。
そういえば,「ヒロシマ・モナムール」には,リッツ劇場も映っていたなあ。
50年前の広島には,少年のお父さんがいたんだね。
ところで,主演女優さんが撮影したロケ現場の写真が500枚見つかって,この冬に写真展をする予定だそうです。
ぜひ,父と行ってみよう。自転車に乗った少年の父が映っているかも。

思い出し舞台

gama2008「MIDSUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人」(4/17@広島厚生年金会館)

初演を見ているはずなのに,話をサッパリ忘れているのが我ながらスゴイよ!初見の喜びが何度でも!(いや,ヤバイだろう・・・。)
新妻聖子ちゃんの男前ナースが,とってもかっこよかったなー。別に男装している訳じゃないけど,「21Cマドモアゼル・モーツァルト」のモーツァルトより,男装の麗人度は上でした!(私評価。そして賛辞。)
あと,ザリガニ魔人の妖艶さにヤラレました・・・
初演は誰だったのだろーと,家に帰ってDVD(例によって未開封)を探してみると,長谷川京子&伊藤英明だったのね。
それと,初演に引き続きの山内圭哉さんは,やっぱりおもろいわー。
これ,映画になるんですね。「パコと魔法の絵本」って,タイトルだけでは可愛いメルヘンだと騙されそう。そして,妻夫木くんがザリガニ魔人になるのだろーか!?うわー。

「仮定の二乗」(4/18 Rough−D/@南区民文化センター)

3人芝居。姉?弟?女優?ミュージシャン?ニート?
ちょっと不条理な世界。役者に力がないと難しい舞台だろうなあ。三人三様のキャラクターと演技力で引っ張られました。しかし,やっぱり,ちょっとよく分かんなかったかも・・・。

春キャラメル

きみ時間「君のいた時間 ぼくのいく時間」(演劇集団キャラメルボックス@神戸オリエンタル劇場)

次の日は京都から神戸に移動。
楽しみにしていたキャラメルボックスの春公演。劇団員の上川隆也さんの3年ぶりの出演です。
そして,梶尾真治さん原作のタイムトラベル小説,クロノスシリーズの上演4作目でもあります。
「過去にもどった分だけ未来に飛ばされるタイムマシン」とか「39年前にしか送り出せない片道切符のタイムマシン」とか,タイムトラベルに一定の「縛り」や「欠陥」があるのが特徴のシリーズ。
時間SFマニアの私ですが,実は原作については,そこまでおもしろいとは思わないかな・・・
ただ,これは,おそらく,私がスレちゃってるからだと思います。
ご多聞にもれず「夏への扉」(のジュブナイル版)の洗礼を受け,古典的時間SFを貪り読み,そして次には,あの手この手の変化球を投げる和洋の時間SFを読んできてしまっているので,かえって,梶尾真治さんの小説は直球ストレートで,ちょっと甘ったるすぎると思えてしまうのかも。
でも,「ちょっと恥ずかしくなるくらい直球ストレート」で「ハートウォーミング」なキャラメルボックスのお芝居は,大好きなんですよ。
だから,この劇団がこの原作を選ぶのは,さもありなんというか,よく分かるというか。
そして,やっぱり,キャラメルらしい,いい舞台でした。上川さんは,さすがに上手いねえ。あんなに老け役が出来るとは。声の出し方まで違う。(しかし,老け役といえば筒井君。す,素晴らしい〜。得がたいキャラクターじゃ。)
それにしても,岡田くん(の役の人)は,あの後一体どうなったのか・・・。
ちなみに私,時間SFマニアと言いながら,タイムパラドックスにはめっちゃ弱いので,このお芝居のラストも「ええようになったんだろう!」とだけ思うことにします。ハッピーエンド,ハッピーエンド!

ところでこれ,キャラメル初の休憩の入るお芝居だったんですが・・・要するに,上演時間が普段より長かったのでした!
そんな事とは知らず,いつもどおりの時間で帰りの新幹線を予約していたもので,カーテンコールもそこそこに猛ダッシュする羽目に。
ちゃんと事前に終演時間を調べて,一本遅い新幹線にしとけばよかったー。

映画のハシゴ

見ようかなと思う映画のスケジュールが,結構混んでいる・・・時間とれないし・・・。
うーん,気合で二本立て。しかも仕事帰りに。

うた魂「うた魂♪」(2008年/日本@サロンシネマ)

北海道のとある町。高校の合唱部に所属するかすみは、歌っている自分が大好きで、ルックスにも才能にも自信満々。しかし、憧れの生徒会長に、歌っている時の顔を“産卵中の鮭みたい”と言われて自信喪失。そんな彼女の前に、合唱をこよなく愛するヤンキーの権藤が現れて・・・

「ウォーターボーイズ」や「スイングガールズ」の流れを汲む(?)青春部活ムービー。今回のテーマは合唱。
合唱というと,高校の文化祭を思い出す。クラスでわざわざ集まって,朝練までしたなあ。不思議に燃えるんですよね〜。歌ったのは「赤い花白い花」と「翼をください」だったか・・・?
自己陶酔ヒロインが,ぽややんとして清楚でキュート。妄想に浸る天然っぷりが可愛らしい。
ひとつ欲を言えば,自分の歌に陶酔して合唱の和から知らず知らずに浮いているにしては,ちょっと歌声の線が細すぎ。本当に浮いちゃうほどの歌唱力があれば,もっと説得力があって面白かっただろうな。
ヒロインの友人合唱部の部長,良かったなー。きりっとして,責任感が強くて,リーダーシップがあって。でも,こういう子は損するんだよね。自分だってみんなと同い年の女の子なのに,強くて当然と思われて,誰にも頼れなくて。(トキワ荘での寺田ヒロオ氏の様に・・・。)
キャスティングはあちこちに,カメオ出演の様に見たことある顔が並んでます。それにしても,ヒロインのおじいちゃん役の間寛平,短パンから覗いた脚が,それは見事なアスリートのおみ脚で,そんなおじいちゃんって一体。でも,孫のために彫ってくれた「鮭をくわえた熊」ならぬ,「熊にかぶりつく鮭」の木彫りマスコットは,ちょっと欲しかった!
それと,ラスト,結構お定まりの感動シーンなのですが,しみじみしてしまいました。というのが,モンパチの「あなたに」,大好きな歌なんです。

恋の罠「恋の罠」(2006年/韓国@サロンシネマ)

謹厳実直で知られる宮廷貴族のユンソが、こっそり書き上げた官能小説。それは巷で大人気を博し、ユンソはたちまち匿名の売れっ子作家になってしまう。
やがて彼は、王の寵愛を一身に受ける美貌の王妃・チョンビンとの禁断の情事を挿絵つき小説として仕上げ、当代随一の人気を極める官能小説を完成させてしまった。果たして、ユンソが仕掛けた恋の罠は真実の愛なのか?それとも小説のための欲望にすぎなかったのか?

真面目な官吏が,取調べにいった食器屋で官能小説を見つけ,生まれて初めてそんなもの読んでびっくりして,どうした訳か自分でもちょっと書いてみたら書けちゃって,それを読んだ実は闇の編集人だった食器屋の主人に連載を薦められ,人気は出たけど,どうしても,一番人気の作家が越えられない。
それが悔しくて,それでは挿絵を入れてみようと,一族の宿敵の警吏グァンホンの画才を見込み,春画を依頼,最初は激怒していたグァンホンだったけど,彼は彼で画家としての創作意欲を刺激され・・・って・・・
あ,あほか,こいつらー!!
小説家,編集者,挿絵画家,どいつもこいつも,一本ズレてるというかなんというか,こういうのクリエイターの性というのでしょうか。
そして,てっきりコメディかと思っていたら,物語はだんだん辛いことになっていって,途中は正視に堪えず,見に来たのを後悔しましたが・・・ラストはまた,あっけらかんと。凝りねえ奴・・・。
うーむ,これは,ひょっとして男三人組の友情物語だったのだろうか??
そもそも一体,主人公の真意はどこにあったのか。いや,こいつ絶対,ただのむっつりスケベだろう。
誰に感情移入していいやら,困る映画でした・・・。

しかし,さすがに,仕事終わって映画二本立て(レイトショー含む)は,帰ると午前様になってしまうので,ちょっと疲れました。(バカ)

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Author:はんちゃん
重度活字中毒者
積ん読に追われている。

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